当研究室では、独自のデンドリマー型高分子を用いた金属精密集積法を駆使し、金属元素の原子数や配合比を精密かつ自在に制御し、従来の方法では合成出来ない高精度でサブナノサイズの金属、半導体、酸化物、多元素合金などの新しいサブナノ粒子を組み上げる「アトムハイブリッド法」を世界にさきがけて創製してきました(Nature Nanotech. 2008, Nature Chem. 2009)。この方法を用いると、例えば白金原子の数を12, 13, 19というふうに明確に指定することができ、組成のはっきりした担持サブナノ粒子を化学合成することができます(J. Am. Chem. Soc. 2013, Angew. Chem. Int. Ed. 2015)。
元素周期表の中に実用元素は70種類ありますが、これらをほぼすべて網羅する極めて汎用性の高い方法となっています。9種類の元素をデンドリマーに同時に集積させることができ、160パターン以上の異種元素集積を達成しています。
多元素金属集積デンドリマーを還元し、他に類例のない5種元素を含む初めてのサブナノハイブリッド合金の合成に成功しています(Nature Commun. 2018)。遷移金属と典型金属からなる5種元素(Ga, In, Au, Bi, Sn)は、バルクやナノスケールでは容易に相分離してしまいますが、サブナノ合金は全く相分離しないため、アトムハイブリッド法はこれまでの熱力学の限界を超えた完全相溶の合金を誕生させる方法として期待されます。